植え替えについて

サボテンの植え替えを例に、手順を追ってみましょう。(^-^)

まずは株を用意します。サボテン科マミラリア属の「影清」さん。
2010年3月の例会で配布された競作サボテンです。綿毛と
可愛い花がポイントですね。

まず既存の鉢から抜いてみます。根のチェックもできるので
状態の芳しくないもの、生長が鈍って動きが見られないもの
なども確認したいですね。根腐れや根コブ病、根ジラミなど
色々と隠れているかも...。(´・ω・`)

根鉢を崩します。鉢増しするだけなら崩す必要はありません。
太い根と細い根があり、細い根は少々切れても構いません。
太い根はあまり切らないようにしたいところ。ただし、根が伸び
ているものは3分2程度まで切り詰めます。

太い根を切った場合は特に乾燥期間を設けます。一週間ほど
待ちたいので、逆算して植え替えの一週間前に抜いて根を
整理しておくと楽ですね。また、殺菌剤を使うのも効果的です。

品種によっては樹液の流出が止まるまで、かなり待たされる
ものもあります。クラブ員の方で一ヶ月以上待たされた例もある
ようです。(・_・;)

さて、植え付けに使う用土ですがサボテン、多肉植物用の培養土
が販売されています。ただし、単用だと水はけや環境に合わない
場合があるため、他の用土を足して調整します。

あくまで参考なのですが、私の場合は下記のような配合を基本と
して、後は株の種類によって微調整しています。

サボテン、多肉植物用培養土 ・・・ 5
一般的な粒状培養土(草花用) ・・・ 3
腐葉土または草花用培養土 ・・・ 1
もみ殻くん炭 ・・・ 1

排水性を増すために砂や軽石を入れたり、吊り鉢にするためパー
ライトを混ぜることも。

更に緩効性化成肥料と浸透移行性殺虫剤を少量、混ぜています。
肥料については使いやすくて、数年ごとの植え替えが必ずある
ため化成肥料が良いでしょう。有機肥料はよほどの大株か地植え
向きです。

チッソ、リンサン、カリの成分がほどよく配合されているものが
お勧め。もし、草花用のリンサン値が極度に高いものを使う
場合は使用量を少なめとします。もちろん、専用肥料なら安心。

あと、大事なことですがフルイを使って用土に含まれている微塵を
落としておきます。1mm目くらいがお勧めですが、無ければ網戸の
張り替え用の網を底に敷くと微塵を落とせます。特に径の大きい
フルイには1mm目が無いことが多いため、応用してみて下さい。

画像の右側がフルイで落とした微塵。用土がもったいないと言わず
しっかり落とすのがポイント。用土に含まれるミジンは通気性、排水
性を阻害して根の呼吸や伸びを妨げます。団粒構造として根の
生育を促しましょう。(^_^)v

昔から一般的な園芸では、赤玉土と腐葉土を混ぜたものが基本
と言われますが、サボテンや多肉植物には向きませんのでヤメて
おいたほうが無難です。特に安価な赤玉土はすぐに形が崩れて
粘土状となるため、普通の草花にも使わないほうが懸命です。

これは日向土。ボラ土とも言われ、排水性の改善に使われる用土。
型崩れしにくいため、もっぱら鉢底に用いています。サイズ別に色付
きの袋で販売されているため、使いやすいのもありますね。ただし、
ホームセンターには細粒サイズが置いていない場合が多いです。
細粒サイズは用土の化粧として、小鉢ものに使うのも効果的ですね。

用土の準備が整ったら鉢と株、道具を用意。土入れ器とピンセットは
定番です。用土も手の届く範囲に。右利きの人は右側に置きましょう。
あと、トゲものを扱う時は軍手(できれば革製のもの)や株を包む新聞
紙が必要です。ケガをしないよう安全第一で。(^o^)b

鉢は黒のプラ鉢が最近の定番。日照による地温の上昇で根の生育が
良くなり、用土に含まれる水分管理が比較的楽です。水やりが生育期
で一週間から10日に一度くらいなら、プラ鉢が簡単でしょうね。

ただし、鑑賞価値としては正直なところイマイチなので、品評会や展示
会に持って行く時にはお洒落な鉢カバーに入れるか、植え替えが必要
です。(-ω-;)

鉢底の穴の大きさ、数を要チェック。これで乾き具合が変わります。
足りないな、と思ったら自分で穴を追加することもできますね。鉢底の
強度が落ちない程度に...ですが。

株を据えた時に、周囲に指一本程度の空きができるサイズの鉢を
選びます。大きすぎる場合は用土の乾きが遅く、小さすぎる場合は
乾きが早くなり、管理が難しくなります。平鉢(浅鉢)、深鉢もありま
すが、基本的なものがお勧め。

まずは鉢底に日向土や鉢底石を入れます。底の穴に合わせて小粒や
中粒を入れ、間から用土が流出しないよう細粒を少々。ちなみに鉢底
から虫が侵入するような条件下なら、鉢底ネットを敷きます。ナメクジの
被害を防ぐため、銅製のものを使う人もいますね。

ちょっとピンぼけですが、根腐れ防止剤と洋ラン用バークの小粒が
入っています。根腐れを起こしやすいサボテンは、特に防止剤が
入っていると安心できますね。

洋ラン用バークは特に意味がありません。(^-^;) 用土全体に混ぜて
使っている人の話を聞いたので、試しに入れているだけです。小粒と
言ってもサイズが大きかったので底のほうにだけ入れています。

左手で株を支えながら、右手で土入れ器を使い用土を足していきます。
トゲの鋭いものや強いものは株を新聞紙で筒状に包み、鉢に割り箸等
で三角、または四角の受けを作って支えると言う方法も。この点だけ別
に紹介したほうが良さそうですね。

鉢を回しながら株が中心に来ているかチェックしつつ、欲張らずに少し
ずつ用土を足していきます。また、ピンセットや割り箸で株の下に空間が
できたりしないよう注意しながら、用土を入れていきます。ある程度まで
用土が入ったら、軽くトントンと鉢を叩くのも効果的。

ここでまた根腐れ防止剤を置きます。鉢の上部と下部、二段に入って
いれば安心できますね。性質が強いものは、ここまでする必要はあり
ません。

更に用土を足していきます。クルクル鉢を回して、株が中央に来て
いるかよく見ましょう。今ならまだ修正が効きます。(^^)

最後に化粧砂等をアクセントに。画像のものは富士砂。重いのと
角張っているのが難点ですが、水やりの時に浮き上がりにくいため
鉢ギリギリまで入れても、水やりの際に流出しにくいです。

用土が多いと言うことは株の生長にとってプラスに働くと考え、大事
な株には施しています。ふるい分けされた小粒がお勧め。自分で
ふるい分けできますが、土が重いので苦労します。(_ _;)

めでたく出来上がり。あとは忘れずにラベルを挿しておきましょう。
表に品種名や属名。裏に栽培開始日や手に入れたルート、植え
替え日などを書いておくと参考になります。もし、誰かに頂いたもの
なら、その人の名前を書いておくと誰に貰ったか分かりますね。

品種名が見えておくように挿しておくのも方法の1つですが、ギリ
ギリまで用土に埋めておくと、書いた字が日射によって消えること
もなく、落ちて無くす危険も減ります。見せるものと埋めるもの、
2枚挿しておくと尚のことベターですが、普通はそこまでしません
よね。(^o^;)

あと、大事なことを1つ。最初の水やりは濁った水が出なくなるまで
頑張りましょう。数回に分けるのが効果的。用土の微塵をしっかり
抜いておけば、団粒構造が長く維持され、根の生育が促進されて
株がよく育ちます。特に関西圏の夏が暑い地域で栽培する場合は
必須事項だと思って下さい。

長々と書いてきましたが、参考になったでしょうか。私の個人的な
見解や方法が入っているため、あくまで参考程度にして下さい。
同様の植え付けをして枯れた、と言われても責任は持てません。(^^;

基本的に多肉植物も同様です。サボテンほどは根腐れしにくく、
根をカットしても乾燥期間を長く取る必要はありません。一部、根が
太いアロエの仲間などはしっかり乾かしたほうが無難でしょうね。

植え替え周期ですが、一年ごとがベストと言われています。ただし、
状態の良くないものはすぐにでも鉢から抜いて、根を確認したほうが
良いでしょう。長年、同じ土で栽培していると老廃物が溜まり、生理
障害を起こすことも。(;´・ω・`)

また、梅雨時期や真夏、真冬は植え替えに適しません。梅雨時期や
真夏は雑菌が繁殖しやすく、株が半休眠で弱っている時期でもある
ため失敗を招きやすいです。

真冬も休眠期ですが、低温期に灰色カビ病が温室管理されている
場合に発生しやすいです。低温、多湿だと特に危険。やはり春か秋
でしょうね。後の時期はやっても鉢増しに留めます。

用土は特に悩ましいところで、これが正解と言うものはありません。
人それぞれ栽培環境が違うからです。試行錯誤しながら、自分の
環境に合った用土を模索していくのが園芸を楽しむ要素の1つでも
あるので、頑張って見つけていきましょう。

ではでは、今回はここまでとします。(^o^)/~~~

(T君)

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